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「サグラダ・ファミリア展」

2023年6月~9月に東京、2023年9月~12月に滋賀で開催され、2023年12月から名古屋で現在開催中の「サグラダ・ファミリア展」。
これから行く予定の人は参考にしてもらえたら幸いです。

『ガウディとサグラダ・ファミリア展』
ガウディとサグラダ・ファミリア展公式サイト

日本初公開の模型や直筆のノートなど、建築家アントニ・ガウディの創造の源泉と独創性に迫る注目の展覧会とのことで昨年から
気になっていたため今年行ってきました。
やっぱりサグラダ・ファミリア(Sagrada Familia)の注目度は絶大って事でしょうか。
今回の「ガウディとサグラダ・ファミリア展」は割と混んでいたのため「みんなガウディ好きだなぁ」と思いました。

さて、今回の「ガウディとサグラダ・ファミリア展」は、美術展というより建築展に近い感じの仕上がりになっていました。
良くも悪くも非常に真面目に作られた内容になっています。
よく言えば丁寧で密度が濃い。悪く言えば説明が多めという印象です。展示は説明パネルも多く、じっくり読むとかなり時間がかかります。
私みたいな美術館に行ってもほとんど解説を読まない人間にとっては今回の「サグラダ・ファミリア展」はちょっと疲れてしまいます。
これから見に行く人はぜひ音声ガイド(有料)をお勧めします。効率よく巡りたい場合は音声ガイドを使う方がいいのかなと思います。
もう一つ、かなり深堀りされた濃密な内容が多いため「サグラダ・ファミリア(Sagrada Familia」について少し予習しておくとより楽しめます。
「そんなの知っているよ」と思うかもしれませんがこれが非常に大事だと私は思っています。
サグラダ・ファミリアは独創的な建築の為どうしても話題性や注目度が先行しがちですが、意外とどんな建物なのかよく知らない人は多い様です。
この建物は教会です。宗教建築です。これ、意外と忘れがちです。
下記に参考となりそうなリンクをいくつか紹介します。是非予習に使ってしてみてください。

ウィキペディア サグラダ・ファミリア

[NHKスペシャル] 140年も建設が続く世界遺産…その舞台裏に密着 | サグラダ・ファミリア2023 ~ガウディ 100年の謎に迫る~ | NHK

【TBS世界遺産】空から見る!奇才ガウディの建築~アントニ・ガウディの作品群(スペイン)【7月31日午後6時放送】

サグラダ・ファミリア「マリアの塔」が完成 星が点灯 TBS NEWS

Les torres dels Evangelistes | Las torres de los Evangelistas | Towers of the Evangelists / Basílica de la Sagrada Família

2022 Torres dels Evangelistes | Torres de los Evangelistas / Basílica de la Sagrada Família

今回の「ガウディとサグラダ・ファミリア」展は、大きく分けて4つから構成されています。

 1.ガウディとその時代

 2.ガウディとその源泉

 3.サグラダ・ファミリアの軌跡

 4.ガウディの遺伝子

1章・2章は建築家アントニ・ガウディ(Antoni Gaudi)についての展示になっています。
ガウディが建築を勉強していた学生時代から、その後の建築構想の根本的な部分が紹介されています。
実際に制作した図や模型、書き残したノートなどが展示されています。
ガウディの没後、スペインの内戦で多くの資料が焼失してしまったそうで、その中で残った数少ない手書きのノートは必見です。
またガウディの建築に関する視点がどのように生まれていったのかを生み出した作品の変化とともに時系列に紹介されています。
サグラダ・ファミリアという建物だけでなく、ガウディの生涯にも焦点を当てた興味深い展示内容になっています。
特に印象的だったのが正確に細部まで描かれた図です。ある意味デッサンにも通じるなと思いながら食い入るように見てしまいました。
ガウディの設計思想のテーマは「歴史」・「自然」・「幾何学」です。
イスラム教とキリスト教が融合したスペインの伝統建築をリスペクトし、自然にも深い造詣を持ち続け、曲線と曲面を追求してきた過程
の上でサグラダ・ファミリアが誕生しました。それらが丁寧に解説されています。
個人的な感想ですが、ガウディも計画のみで実現しなかったものも多くあり、実現したものの建築主は会社経営者や実業家だったりと
、建築設計者の仕事は100年前の天才と現在の凡才と何も変わりはないんだということに何か面白く思ってしまいました。

3章からは、本格的にサグラダ・ファミリアについてが紹介されていきます。
ここではかなりの量の模型が見れるので、見ごたえは充分という感じです。
また、3章は写真撮影が基本OKになっているので必然的滞在時間も長くなるのではと思われます。
個人的には”二重ラセン円柱”は面白かったです。かなり釘付けになって見てしまった感じです。
こういった工夫が柱に施されていると分かると実際に本物を見たくなってしまいます。
完成模型も精細に作られており圧巻でした。

4章ではNHKが撮影した高精細製造やドローンが撮影した映像を映し出したシアター展示がありました。
NHKが撮影した高精細のシアターはとても迫力があり、実際にサグラダ・ファミリアにいるような臨場感を味わうことが出来ました。

名古屋での企画展は~3/10までなので気になる方は急いだほうがよいと思います。
行くことができない方、行けなかった方、雰囲気でも感じたい方は下記に参考となる動画がありますので参考にしてみてください。
(ネタバレ注意)

東京国立近代美術館「ガウディとサグラダ・ファミリア展」/アイエム[インターネットミュージアム]Internet Museum 

ガウディのことばで 「人は創造しない。人は発見し、その発見から出発する」 が印象的でした。
一から創造することを否定し、現存する環境や伝統の中から生み出すスタイルです。自然や先人に対しての畏敬の念も忘れてはいません。
その終着点がサグラダ・ファミリアだったと私は思います。
実務者が設計を学ぶのは永遠に続きます。その変化を学び、楽しむ事はずっとやめていけないなと思いました。
私が子供の頃には完成まで100年以上かかるといわれていた未完の建築があと数年で完成します。
今から完成まで待ち遠しく感じます。

最後に、家づくりや建物の建築をお考えの方、あなたが依頼する設計者に「好きな建築家」や「好きな建築」など語る時間を作って色々聞いてみることをお勧めします。
次回の打合わせ時にでも是非さらっと聞いてみてください。
「好きな建築家」っていますか?「好きな建築」って何ですか?と語らう時間をつくってみてはどうでしょうか。
家づくりや建築に対する考え方・デザインを大切にしてるのかがわかると思います。
どのような会社のどのような設計者にも「好きな建築家」や「好きな建築」は少なくとも1つはあり、大小ありますがそれがその人の潜在的なルーツかと私は思います。
あくまでも私見の為、ご参考まで。

【おまけ小話】
サグラダ・ファミリアは着工~完成まで約140年ぐらいだそうです。(長い・・)
でも、実はこれよりもさらに長い期間の工事の建築がいくつかあるのでご紹介します。

・バッキンガム宮殿(英 ロンドン) 約150年
・ピサの斜塔   (伊 ピサ)   約200年
・ミラノ大聖堂  (伊 ミラノ)  約400年
・ケルン大聖堂  (独 ケルン)  約600年

自分が関わった建築が完成しないまま生涯を終えるのはどこか切なく感じます。
何代にもわたり完成させたからこそ、いまでも名建築といわれるのかもしれません。

作成:今田