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3Dプリンターの擁壁

がけをあつかうことが多いため、常日頃から興味をもちながら情報収集を心掛けているのですが
最近面白い記事を見つけてしまいました。
なんと「3Dプリンターで擁壁をつくる」というのです。

以下、日経クロステックより引用です。

「新庄砕石工業所(山形県新庄市)は落石防護柵の重力式擁壁の埋設型枠を全て3Dプリンターで
 “印刷”して、建設工事の工期を従来工法と比べて約4割短縮した。
 同社が手掛けたのは、秋田県と山形県新庄市を結ぶ国道13号の道路整備事業の一環として国土
 交通省山形河川国道事務所が発注した新庄国道管内防災対策工事だ。
 延長43.7m、高さ1.3~2mの重力式擁壁の上に、落石防護柵を設置する。2024年1月に完成した。

新庄砕石工業所が山形県新庄市で施工した落石防護柵(写真:新庄砕石工業所、ポリウス)

 新庄砕石工業所は建設3Dプリンターの開発を手掛けるpolyuse(ポリウス、東京・港)と協力し、
 新庄砕石工業所の倉庫内に設置した3Dプリンターで重力式擁壁の埋設型枠になる部材を54個印刷。
 その印刷物を現場に運んで設置し、内部にコンクリートを流し込んで一体化させた。
 その後、重力 式擁壁の上部に落石防護柵の支柱やワイヤなどを設置した。

印刷した埋設型枠(写真:新庄砕石工業所、ポリウス)

印刷した埋設型枠を現場に設置した様子(写真:新庄砕石工業所、ポリウス)

着工前の現場の様子。背面の地山が急峻で、崩落の危険性があった(写真:新庄砕石工業所、ポリウス)

 印刷した埋設型枠を用いることで、型枠の組み立てやコンクリート打設、脱型などにかかる時間を
 大幅に短縮できた。
 工期は全体で43日間と、通常の工法で施 工した場合の82日間と比べて約4割も 短くなった。
 現場で監理技術者を務めた新庄砕石工業所の尾形広美氏は、「現場の背面に広がる地山は急峻(きゅ
 うしゅん)で、降雨などによって土砂崩落の危険性があった。
 通常の工法で施工すると掘削した箇所は25日程度そのままにする必要があり、作業員に危険が伴う。
 工期短縮は現場作業員の安全確保にもつながった」と話す。」

記事中にもあるとおり、施工場所は特別豪雪地帯に指定されているとのことで雪国では本格的な積雪
を迎える前に工事を完了しようと工程を急いでいる現場が多いそうです。
そのような背景から今回この現場では工期を短縮する秘策として3Dプリンターを導入したそうです。
実際はもっと短縮できたそうですが、雪が降るまでに工事を完了しました。また工期短縮に伴い現場の交通規制期間も短くなったそうです。

この3DプリンターはPolyuse(本社:東京都港区)が開発したもので、モルタル状の材料を吹き出すノズルを、
上下に移動するXYプロッターのようなものに取り付けた構造になっています。
この3Dプリンターで内部が空洞になっている埋設型枠を作り、それを現場に設置、内部に生コンクリートを
打設して一体化させるものです。
3Dプリンターは現場から17.5km離れた新庄砕石工業所の倉庫に設置し、10月末から同社の入社1~3年目の
若手社員が埋設型枠を製作しました。Polyuseは指導やサポートを行ったとのことです。

※この工事概要を紹介した動画がありますのでご参照ください

国内最大級:43.7mの重力式擁壁を全て3Dプリンタで作ってみた。【Polyuse×新庄砕石工業所】 Polyuse Official

Polyuseの3Dプリンターの施工実績は2023年11月1日時点で53件となりうち27件が国土交通省の工事で、
現在進行中の施工案件を含めると累計100件を超えています。

※中部エリアでも実績はあるそうです。
3分でわかるインフラDX(3Dプリンター編) 国土交通省中部地方整備局

このような実績から国土交通省から建設用3Dプリンター関連の技術が承認されているそうです。
3Dプリンターはこれから建築や土木の分野でますます工期短縮の切り札としても少しづつ存在感を発揮していくような気がします。
最近なにかと世間をにぎわかす2024年問題の解決策としても有効に活用できると私は思っています。
また、今後起こる災害復旧でもこのような新技術を役立ててほしいと願っています。

【おまけ】
3Dプリンターで住宅も建築しています。
建築基準法をクリアしているので建物としては問題ないでしょうが「今の住宅」としては耐震性、断熱性、・・・と改善点
は多いように思われます。
3Dプリンターでの住宅はまだまだ課題が多いように感じますが工期や費用だけではなく、リモートで世界中宇宙中のどこにでも
住宅が作れるんじゃないかと思わせる夢のある技術ではありますね。

3Dプリンタ建築のパイオニア!“日本初”に大使まで見学! 大岡航さん(28)(2022年4月25日) ANNnewsCH

担当:今田